ブランドの年間プランを策定する際、プローモーションや競合の動き、市場シェアなどを分析する。しかし、本当に何が問題なのか、複雑なシステムの中から解決しなければならない課題を捉えるのは容易なことではない。

『良い戦略、悪い戦略』で、リチャード・ルメルト氏は、良い戦略の基本構造の1番目に、”診断”をあげている。

戦略を立てる作業の多くは、何が起きているかを洗い出すことにある。何をするか決めることだけが戦略ではない。(中略)

診断では、少なくとも悪い箇所を特定し、病名をはっきりさせなければならない。(中略)どこに注意を払い、どれはあまり気にしなくてよいかを選別する。

リチャード・ルメルト、良い戦略、悪い戦略  

diagnosis is a judgement about the meanings of facts 診断とは、事象の意味を判断すること

Richard Rumelt, GOOD STRATEGY BAD STRATEGT

つまり、診断とは、プロモーションが未達成の原因を特定することではなく、今年の店頭で起こった事象が”何”で、その事象がブランドにとって”意味”があるのかを、判断することである。

診断の結果、目標値は達成しなくても、さほどその事象は重要な意味がないかもしれないし、目標値に達成していても、全体でみると、重要な意味合いと判断できるかもしれない。

診断で行うこと:

  • 何が起こっているのか?を明らかにする
  • 複雑なリアリティをシンプルにし、重要な事柄にフォーカスしやすくする
  • ダイナミクスに注目する
  • その事象は、ブランドにとって重要かどうかを判断する

次に、LEGOブロックを用いたブランド診断方法について紹介したい。マーケティングで発生する事象は複雑なため、紙面で全体のシステムを俯瞰して考えるのは難しい。そこで、LEGOブロックで事象を表現し、それぞれのパーツに意味合いを持たせることで、強弱や関係性が現れ、全体像を俯瞰することが可能になる。

3Dインタビュー サンプルストーリー

例えば、上記のサンプルストーリーの場合、緑のフラグが立っているブランド価値を顧客に認識して欲しかったが、TVCMや交通広告ではその価値を伝えきれず、店頭での選ぶ理由につなげられなかったという事象を表している。

また、下記のモデルは、顧客が店頭プロモーションを比較した際、競合のプロモーションは、ブランド価値につながる何かを(ピンクの花で表現)を顧客に提供していて優位性があった。などの見解を表現している。

3D インタビュー プロモーション

3Dインタビューは、ファシリテーターがブランドの現状をヒアリングしながら、事象をブロックで表現していく。ブロックだけでは齟齬がうまれるため、ポストイットなどでタイトルを書き、参加者の認識を同じに保っていく。

顧客とブランドの距離などを配置を動かしながら何が起こっているか表したり、必要であれば、過去の事象などもテーブルの上に表現していく。

そして、だいたいの事象が出尽くし、それぞれの事象の関係性も確認できたら、ブランドマネージャーの方に、”この事象は重要ですか?どういう意味がありますか?”と投げかけていく。

そして、重要と選んだ事象には、”フラグ”を立てもらう。これらのフラグたちが次年度のプランで解決すべき課題となる。これ以外は、意味合いがつけられなかったため、取り組まなくてよいと判断したことになる。

実際、ブランド診断をやってみると、毎年課題として上がっていた取り組み課題が、重要ではなかったりする場合もあり、参加者の発見がある。

3Dインタビューがもたらす点:

  • 事象を客観視できる
  • 関与者のSWOTや3C等のフレームワークの理解度に依存せずに、全体を俯瞰できる
  • ブランドマネージャーだけでなく、他の人の見解もインプットできるため、認識が合わせやすい
  • ブロックが動かせるため、現象がどういう意味を持つのか度合いを理解できる

毎年同じようなブランドプランになってしまい課題の捉え方を進歩させたいと思ってる方や、このままで本当に良いブランドになるのか全体像を俯瞰して捉えたいと思っている方に、是非ブランド診断 with 3Dインタビューをお勧めしたい。

ブランド診断にご興味を持たれた方は、ぜひお問い合わせください。お待ちしております。

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