リーダーシップの重要な要素は信頼
ハーバード・ビジネス出版のアビー・ルイス氏は、最近のリサーチで成功する組織は信頼が基礎にある、と述べ、リーダーに出来る信頼の造り方について次のように紹介しています。(一部抜粋)
リーダーが信頼構築のために出来ること
- 透明性を持つ
- 会社で何が起こっているかの情報を共有する、秘密裏に意思決定をおこなわい
- フィードバックを行う、望んでいる姿や期待を明確に伝える
- オーセンティシティ(本当の自分でいる)
- 自分に対する認識を高める、自身の価値感や感情、周りからの認識について知る
- 弱さを見せる、失敗や過去の学びを共有する
- 頼れる存在でいる
- 言ったことを実行する
- 公平さを示す、成長の機会を全てのメンバーに与える
「わたしたち」と「わたし・あなた」の違い
リーダシップ論の多くが欧米から発信され、日本語に訳されるため、日本・アジア文化圏の特有さが考慮されないケースもあります。
特に関係性においては、大きな差が出ると思います。
社会心理学者のバティア・メスキータ氏は著書(Between Us: How Culture Create Emotions)で、日本やアジア圏では、個の感情が周辺の感情によって造られていると述べ、それを「わたしたちの感情」と呼んでいます。
欧米と比較すると、
- 日本・アジア圏では、わたし・あなた、で捉えるより先に、わたしたちで捉えがち
- 欧米圏では、わたし・あなたは別の存在と認識し、わたしとあなたは等しくないと捉えている
リーダーが「わたしたち」で捉えると見誤る
リーダーがメンバーと信頼を築こうとした時に、「わたしたち」は妨げになる場合があります。
- 「わたしたち」は自分と相手の区分がないため、相手が同じ気持ちではないかもしれないと想像しづらい
- 「わたしたち」は信頼が大切だと思っているから、相手とも話せば信頼が生まれると思いやすい
「わたし・あなた」のミューチュアリティ
信頼構築のために出来ることに、日本・アジア圏版として1つ追加するとしたら、それはミューチュアリティ(mutuality)、相互性です。
相互性とは、「わたしたち」のような一心同体の協同性ではなく、お互いがそれぞれに存在することを尊重し、双方向に影響しあうことを認める概念です。
ミューチュアリティ(相互性)があれば、関係性はお互いの行動から造りだされることを理解し、そこに発生する利益を共有し大切にします。
信頼のミューチュアリティを例えるしたら、相手と自分の間にある橋です。
- お互いに行動や発言で、信頼のブロックを積みます
- それぞれの見えている景色は違います
- 相手のブロックの積むスピードが遅い場合もあります
信頼は目に見えないものですが、メンバーにやる気を与えることも出来ますし、そぐことも簡単にできるパワフルなものです。
ぜひミューチュアリティを大切に信頼構築のために出来ることを参考にしてみてください。
参考文献:
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/mutuality
Frances X. Frei and Anne Morriss, “Begin with Trust,” Harvard Business Review, 2020. https://hbr.org/2020/05/begin-with-trust.
Good Leadership? It All Starts With Trust. https://www.harvardbusiness.org/good-leadership-it-all-starts-with-trust/
Between Us: How Cultures Create Emotions
Photo by Rutger Lanser on Unsplash