はじめに

リモートワークが続き社内の関係性を感じづらい中、どのようにマネジメントしたら良いか悩んでいるリーダーも多い。

そこで、今日は、リーダーの視点でリモートワークの困難さと、セルフケアについて書きたいと思う。

突然のリモート環境

2020年4月、多くのリーダーが“会社に出社せずにどう仕事を進めるか“という経験したことのない難題に直面した。

コロナはいつまで続くのか、在宅でメンバーは仕事が出来るのか、zoomでビデオをオンにしてと頼んでいいのだろうか。

様々な疑問や不安が日々脳裏をよぎり、自身と家族の健康を案じながら、マネージメント方法を模索していただろう。

不確実性を脳はどう捉えるか?

このような予測できない不確実な事態を、脳はどう受け止めるだろうか。

脳の基本機能を見ていこう。

脳は、目の前のことを“脅威“か“報酬“かのどちらかに、常に見極めようとしている。脅威であれば、離れようとするし、報酬であれば、そちらへ向かっていこうとする。

しかし、どちらか分からないものは “超・脅威”とみなし、既知の悪いことよりも“さらに悪い“こととして捉える性質がある。つまり、不確実は脳にとって最大級の脅威といえる。(※1)

リーダーの脅威

リーダーがリモートワークで感じた脅威を、ニューロリーダーシップ研究所のDavid Rock氏は次のように語っている。(※1)

リーダーがリモートワークで感じる脅威:

  • Status 地位:オフィスでは自身の権威を表すことができたが、オンラインでは画面に平等に映るため地位を表せない
  • Certainty 確実性:仕事が成されているか確認ができない
  • Autonomy 自分の選択権:チームをコントロールできていると感じられない
  • Relatedness 関係性:自分のチームと繋がっている感じがしない
  • Fairness 公平性:追加仕事が多くフェアだと思えない

この中で最も脅威に感じている No.1は、”確実性”、それに続きNo2. は、”自分の選択権”だとDavid Rock氏はいう。

セルフケアの方法

脅威を感じている中、リーダーはどのようなセルフケアができるだろうか。

ポジティブサイコロジーのセリガン博士は、前向きな心を保つために、寝る前にリフレクションを書くことを推奨している。

  • 今日上手くいったことを3つ書く

Atomic HabitsのJames Clear氏(ジェームス・クリア)は”1行ジャーナリング”を推奨。

  • 今日何があったか?
  • 今日のどんなことに感謝するか?
  • 今日どんな気分か?

どちらも何を書くか、提示している手法だが、不確実な事態では、何がいいことなのかも分からないため、お題のない振り返りが必要だと感じている。

蛇口をひねる

私のお勧めは、脳内の感情や思考をただただ流し出す、Julia Cameron氏(ジュリア・キャメロン)のモーニングページだ。

振り返りをする際に、日本ではまず反省をしようとする傾向がある。反省をすると、脅威モードの脳をさらに“脅威“モードに追い込むので、リラックスできずさらにストレスが増す。

まずは、中立な心持ちを得られるよう、自分を批判しない手法がおすすめだ。

モーティングページのやり方は詳しくは『ずっとやりたかったことを、やりなさい』にあるが、簡単には次の通りだ:

  • 手書きの筆記用具を用意
  • 頭から溢れる思いをただ、蛇口をあけて、書きとめる
  • この文章は自分でも読み返さない(本では8週間したら読み返して良いとあるが、私は永遠に読み返さないことをお薦めする)
  • 分量は必要なだけ、順不同に、部下への憤りや、仕事の不安、やらなければならないと思っていることをとにかく全部書く(本には3ページとあるが、脳内から出るだけ必要なだけで良いと私は思う)
  • 時間は、なるべく朝が良い

手書きの効能

最近手書きをする機会がないので、モーニングジャーナルをパソコンでタイプする方もいるかもしれないが、科学的な根拠はないのだが、手書きをおすすめする。

ペン先からだらだら流れ出す文字たちが、ちょうど身体と繋がって脳から出ている感じがするのは個人的な感覚だが、手書きが億劫な場合でも一度試してみて、ご自身にあった方を選んでいただきたい。

紙のノートが手元にないが、タブレットはあるという方は、タブレットペンと、Good Notesのようなメモアプリが最適だ。

感情にアクセスする実験

脅威を感じている時、理由を探そうとするだろう。また、その理由を自分で批判したり、そもそもその感情を「ねばならない」を理由に「おかしい」と思ったりするだろう。

否定的な感情や思考は、人間であれば誰でもあることなので、そのまま書いていただくのが良い。

感じていること、思っていることを、そのまま書けるようになるまで、少し回数がいるかもしれないが、流れに任せてみよう。

“部下が仕事をしているか怪しい、、、。信用しなければいけない。が、信用しきれていない自分がいけないのかもしれない。でもモヤモヤする”

と、いった感じに。

感情にアクセスする練習は、学校でも習わないし、会社では感情は出してはいけないと教わってきた。
このモーニングページでは、自分の中のアクセスする練習だと思って、垂れ流してほしい。

リーダーもセルフケア

リーダーは、メンバーをケアするよう求められている。それにエネルギーと情を注いでいるのはとても大切なことだ。しかし、リーダー自身のケアは、なかなか周囲も気がつかない。リーダーも脅威にさらされ、ストレスを持っている。

ぜひ、自分もそうかもしれないと思い当たる方がいたらモーニングページを試していただきたい。

1ヶ月続けなくて大丈夫。モヤモヤを感知したら、それは思考の蛇口をひねるサインだ。

参考:

*1 Neuroleadership Institute, Your Brain At Work LIVE  Managing in a Hybrid World: Surveillance vs. Outcome Focus

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