2種類の反応
脳には2種類の反応がある。
一つは、「脅威」。二つ目は、「報酬」だ。
そして、生存競争の仕掛けとして、私たちの脳は脅威を報酬よりも強く感じるようにできている。
物理的と社会的は同じ
生命の危険にさらされた時、人は脅威を感じるが、社会的な脅威とそれを区分して考えがちだ。
悪いことが起こった時、「命まではとられないから」と、慰める台詞もある。
しかし、最近の研究で分かってきたことは、人は社会的な脅威を物理的な脅威と同じように捉えているという。
つまり、仲間はずれのような社会的な脅威を、人は物理的に起こる生命の危険と同等に人は捉えるのだ。
SCARFモデル
では、どんな事に脅威と報酬を感じるかを見ていこう。
David Rock氏は、2008年の論文で、脳が反応するトリガー(引き金)を5つのカテゴリーに整理し、SCARFモデル”(スカーフモデル)を発表。
Status (地位・ステータス):自分は他よりも、劣っているか、優れているか
Certainty (確実性):結果を予測できるかどうか、先が見通せるかどうか
Autonomy (自律性):自分に選択権があると感じているかどうか
Relatedness (関係性):集団に属しているか、集団から外れているか
Fairness (公平性・フェア):フェアに取り扱ってもらっているかどうか
組織の中のSCARFモデル
人が組織の中で感じる脅威の例題をあげてみたい。
Status(ステータス):同期の中で自分は優秀かどうか
Certainty(確実性):合併して自分はこの先どうなるのだろうか
Autonomy(自分で選択している):異動先は自分が望んだところではなかった
Relatedness(関係性):中途採用者の自分は、疎外感を感じる
Fairness(公平さ):意思決定の理由が不透明で公平感がない
リーダーとしての仕事
組織変更や、異動、昇進が生じたとき、SCARFモデルを用いて考えることで、部下やメンバーの脅威を予測することが出来る。
そして、リーダーは、これらの予測を使って、いかに脅威を軽減できるか。また、報酬側になるために、どんな関わりが出来るかを考えていくことが可能になる。
参考文献:『SCARF® in 2012: updating the social neuroscience of collaborating with others』(2012, Dr. David Rock and Christine Cox, Ph.D)
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