Hello, my CPU 

不思議なことに、私達は、自分のメインCPUである脳の全容を知った上で、毎日を過ごしているわけではない。

考える時にプログラムを走らせたり、ひらめきや感情など、アウトプットだけ、意識下に受け取ることもある。

そこで、ニューロサイエンスで分かってきている脳の基本的な働きを、ニューロリーダーシップ研究所のトレーニングで学んだ事からご紹介したい。

脳のミッション

まず、脳は何をするためにあるか。

それは、私達を生存させるためである。

脳があるから”考える”ことが出来たり、”記憶”することができるが、脳の最大のミッションは”私達を生存し続ける”である。

脅威か報酬か

生存のために、脳がまっさきに察知するのは、目の前に起こっていることが(もしくは、想像上でも)、それが”脅威なのか”、もしくは”自分にとって喜ばしいこと(報酬)”なのかである。

つまり、”脅威”か”報酬”の区分をしている。

そして、脅威を感じると、無意識にその脅威からは離れる行動をとるように出来ている。

逆に、”喜ばしいこと(報酬)”の場合は、近づくような行動をする。

報酬に近づく

物理的=社会的

さらに、人間は物理的な脅威/報酬を、社会的な脅威/報酬と同等のものと見なして受け取る。

つまり、上司から怒られる脅威も、ライオンに襲われる脅威も同様に察知し、結果、その場から離れようとするよう出来ている。

怒った上司の顔を思い浮かべるだけで、脳は反応する

脅威のセンサーは繊細

会社に行くと、あらゆるネガティブな事が起こっているかのように感じた経験はないだろうか。

プロジェクトが上手くいかない、昨日のあのメールは失敗だ、など次々と浮かんでくる。

ご心配なく、脳は脅威の方をより多く、より強く感じやすく出来ている。

報酬状態の方がもちろん、感情的にも思考機能としても好ましいが、脅威により繊細なことで、人間は生き延びてきた。

脅威の方が感じやすい

思考機能との関係

では、”脅威”や”報酬”では、どのように考え方や行動に影響があるのだろうか。

上司のあなたが、部下の仕事ぶりを指摘し、部下が脅威状態になっていると仮定しよう。

脅威状態の脳は、実は、こんな状態に陥っているというリサーチ結果がある。(*1)

  • 課題を正確に認識する力の低下
  • 問題を解決する力の低下
  • 他者と共に働く力の欠如
  • 視野が狭くなり、全体を観る力の低下

このような機能低下が起こっている場合、部下から新しい行動を引き出すのは難しいだろう。

何か得られるとしたら、アドバイスの内容への返答ではなく、その面談から逃げるための返答だろう。

報酬状態のメリット

脳が報酬状態の場合、思考機能では、次のような特徴があると言われている。

  • 選択肢がたくさん見える
  • 状況に対してオープンに捉えられる
  • たくさんの機会を捉えられる
  • 情報をより吸収できる

つまり、意思決定をしたり、ビジョンを描いたりする場合、脳が報酬状態になっている方が、より可能性が広がる思考ができるといえる。

まとめ

脳の中でどんなプロセスが走っているか、私達は全てを意識できないが、科学的に分かっている機能を把握することで、自身の事、また他者のことの理解が深まる。

部下との面談では、是非、お互いがどんな状態でいるか。
そこに”脅威”はあるか。もしあれば、取り除くことは出来るか。

一度考えてみていただくと、新しい関係構築の一歩になると思う。

参考文献

*1 LeDoux, J.E., & Brown R., (2017) A higher-order theory of emotional consciousness
https://www.pnas.org/content/114/10/E2016

Rock, D.(2008) SCARF:A brain-based model for collaborating with and influencing others.

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