こんにちは、コーチの綿引です。今日は、部下が動かないと悩んでいるリーダーの方に、部下の行動する意欲が湧いてくる気づき「インサイト」について3つのヒントを書こうと思います。
3つのヒント
忙しいリーダーのために、先に結論から。インサイトを生まれやすくするための3つのヒントは:
- 考えるのは部下。リーダーは部下のCPUが回るような対話相手になること。
- 何があれば部下は前に進めるのか?の視点に立っていること。
- 継続的な活動、インサイト→アクション→学び→立ち止まりのサイクルの場をリーダーが作ること。
やめることは2つ
上記の3つが出来れば、いいリーダーになれそうだと、半分の方はうなづいてくれるだろう。しかし、同時に次の事をやめることが重要になってくる。
- リーダーは解決策を考えるのをやめる。リーダーの経験上、正解(例、顧客訪問をもっとする)だと思うことがあったとしても、リーダーにとっての解決策は部下にとっての解決策とは限らないため、リーダーは考えない役割に徹する。
- リーダーは、アクションの結果を批評するのをやめる。評価が必要な場合は、部下に自身の結果について評価してもらう。
部下指導に起こる行き違い
行動変容を促しながら、部下を育成するリーダーにとって、「はい、わかりました」は挨拶の範疇であり、新しい行動を確信できるものではない場合が多い。
また、部下にとっても、リーダーのイライラや求めているものは薄々勘づいていても、自分にとっては納得のいくものでなかったり、「そうはいうけど、、、(リーダーの時と環境条件が違う、、、)」と心の中で呟いていることが多い。
インサイトをあえて、気づきと呼ばないのは、「気づき」の中でも行動につながる特徴を要しているものをインサイトと区分するためである。
インサイト(気づき)の利点
脳科学的に観察できるインサイトには次の特徴があることがわかってきている。
インサイトとは、既知のデータが新しい方法で組み合わさり、ふっと浮かび上がる、自明ではない解決策
Neuroleadership Institute
そして、インサイトがもたらす特徴は:
- 解決策:アイディアがうまれ、複雑な問題を解決するのを助けてくれる
- エンゲージメント:脳の報酬モードにスイッチをいれる
- 変化:本質的なモチベーションがうまれ、行動変容につながる
つまり、上記の状態が部下の中に起きれば、行動するのは必然になってくる。
インサイトが起こりやすくなる対話 PAPA
では、最初に示した3つのヒントを実践するための声がけのPAPA(パパ)を紹介する。
- Permission パーミションを得る : Q あの案件について状況を一緒に考える時間を作りたいんだけどいつがいいかな?
- Already know 既知のこと、経験を聞く:Q これまで進めてきて、どんな感触があったか、◯◯さんの考えたことを聞かせてもらえる?
- Positive ポジティブな答えが返ってくる質問をする:Q うまくできた点はどんな所だった?チャレンジしたい点はどこ?
- Away from problem 問題から遠ざかる:Q この案件は、今までのどの案件と似ているかな? Q 来年の今頃は、お客さんはどんなことに取り組んでいると思う? Q 今までの営業業務で、一番達成感のあった案件はどれ? Q その案件が参考になるとしたら、どんな点だと思う?
PAPA formulate 綿引著
PAPAとインサイトの関係
インサイトとは、次の4つの状態だと起こりやすくなると研究で言われている。
- 静かな時間
- 内側を視る
- 脅威が低減され、ポジティブな感情
- 問題解決しようとしない
そのため、PAPAは:
パーミション(許可)を取ることで、相手の脳を脅威モードから報酬モードに変え、これからの対話が守り体制にならないようにする。
既知のことを聞く理由は、人はそれぞれ物事を違う方法で整理しているため、部下の引き出しをまずは共有することで、リーダーも理解が進む。また、部下の方が思っている「やるべき」は行動のモチベーションには弱いため、焦点を自分(部下)の外から、自分(部下)の内側に持ってくるため。
ポジティブな返答を引き出すことで、脳が報酬モードになり、よりクリエイティブな解決策が考えやすい状態になる。
問題から遠ざかるのは、リーダーにとってはとても難しいと思われる。しかし、問題について言葉を並べても、残念ながら脳は脅威モードになり、より考えづらくなってしまう。
直接的に問題を語るのではなく、遠くから周辺のトピックや要素を一緒に考えていく。その姿勢が相手の状態を軟化させ、よりリラックスした状況で案件について考えることが可能になる。
参考文献: Why insight matters: How and why the aha moment is central for leading behavior change by Josh Davis, Christine Chesebrough, David Rock and Christine Cox