いい悪いを一時停止
前回の記事(反省せずに進むコツ:感情編)で、反省すると脳が脅威モードになるので、上手くいかない時でも、反省しないことをお勧めしました。
感情は出現するものです。
やってしまったなあ、なんでだ!、という強いもしくはネガティブな感情が出現した後、お勧めしたのがいい悪いの判断を一時停止すること。
相手の行動についてのいい悪いではなく、自分が自分にささやいているいい悪いが焦点です。
こんな判断していませんか?
- こんなめんどくさっていたら自分はダメなリーダーだ
- 相手の欠点ばかりみる自分は、リーダーに向いていないな
- 本当はもっと冷静にならなきゃいけないのに自分は未熟なんだ
自分へのダメ出しが出てくるのは、成長のためのように思えます。
しかし、これも脳の脅威状態を作り出している一つの要因なので一旦止めてOKです。
ささやきがなかなか止まらない時は、「そうかもしれないね」と言ってみてください。
そうすることで、可能性として認識することとします。
リーダーは評価する人ではなく、開発する人
P&Gの会長David Taylor氏が、リーダーは評価する人ではなく、開発する人と定義したら、社内の関係性がぐんと変わったとNLIのサミットで話していました。(*1)
何を開発するかというと、部下の能力やポテンシャルを指しています。
評価するリーダーとの違いはこんな点にあると考えます。
- 結果だけを見ない
- どうしたら出来るようになるかを見てる
- 相手がどういう景色に見えているのかに興味がある
- 目線を合わせ、進む方向や、進み方を促す
- どんなサポートが必要か確認する
では、リーダーが息詰まったと感じたとき、どのようにこのコンセプトを活用できるか、シミュレーションでみてみましょう。
部下がタスクをやってこなかった時
あるミーティングの場です。リーダーが、部下に先週依頼したタスクを確認しています。
予想通り、やってきませんでした。予想していたからか、いつも以上にイライラを感じています。
演習
このリーダーが開発するリーダーへ転換するために、こんな演習をお勧めします。
- 静かに考えられる時間をつくります (携帯は遠くに置き、メールは閉じます)
- 部下に好奇心をもって想像します (タスクの背景、人柄なでも含めて想像します)
- 自分は彼/彼女にどんな成長をして欲しいと思っているか書き出します (例、1年後にキャンペーンを企画できるようになって欲しい、半年後には後輩を指導できるようになって欲しい)
- じゃ・じゃん!あなたは開発者です。リーダーとして相手を開発するとしたら、どんなサポートを提供しましょうか?次の文章を例に、尋ねる文で書き出してみてください。
- キャンペーン企画だけど、どんなキャンペーンにしたいと思っている?
- 残業量が最近多くなっているようだけど、私が何かできることある?
- 提案書、作れなかったようだけど、難しいところがあるとしたら、どんな点?
- どんな事例を知れると、アカウントプランの参考になりそう?
どうでしょうか?書き出してみると、感情の奥にある、考えなどが出てきやすくなります。
尋ねる文章、How Can I Help?
Amazon Primeの動画、ニュー・アムステルダムのマックス・グッドウィン医師の口癖です。
How can I help? (ハウ・キャン・アイ・ヘルプ?)
私にどんなお手伝いができますか?
私にできるサポートはどんな事がありますか?
この声がけのマインドは、開発するリーダーを端的に言い表していると思います。
開発者は、個のポテンシャルを最大化するアプローチで成長を促し、組織への貢献を最大化していく、そんな人といえます。
プレッシャーのある時に思い出せること
脳が脅威を感じると、創造力が低下し、視野が狭くなるので、冷静な時に頭でわかっていることが、どこかに飛んでいってしまいます。
上記の例のミーティングの場で、リーダーがイライラしたときに、開発するリーダーの感覚を思い出せるかどうか、そこが重要になってきます。
プレッシャーがかかっている時にも思い出せるのは、短い一つの言葉やイメージです。
今回の演習や、記事を読んで、ピンときたキーワードやフレーズはありましたか?
例えば、
How Can I Help? 私にどんなサポートが出来ますか?
の一文がしっくり来たら、思い出せるように、目立つ場所に貼っておきましょう。
そして、イラッとしたり、ネガティブな感情が出てきた時に、そのフレーズを思い出し、演習で書いたように、サポートのための尋ねる文を相手に投げかけてみてください。
まとめ
- リーダーは開発する人
- どんな成長をして欲しいか書き出す
- 自分にできるサポートは何か?を書き出す
- プレッシャーがある時に思い出せるフレーズを決める
*1 ニューロリーダーシップ研究所 2022 SUMMIT
Photo by Mark Potterton on Unsplash